2009年08月20日

妙法狐

たまにはこんなお話も。

私の母の実家は湯ヶ島です。
その近所にある日蓮宗の妙本寺さんと
雲金山や山里にまつわる昔ばなしです。


  妙法狐 ( ミョウホウギツネ )

昔、雲金山には妙太郎と法太郎という二匹の大きな古狐が住んでいて
長いこと ヌシとしてこの山を治めていたのだそうです。

その所以か雲金山と周辺には狐が多く住んでいました。
いつしか、その狐達は徐々に里に下り降りてくるようになり
次第には畑の作物やニワトリや囮鮎まで荒らすようになりました。

腹を立てた村人達は隣村に住む猟師でワナの名人に
狐を捕らえるワナを仕掛けてくれるように頼みました。

数日後、猟師はさっそく仕留めた獲物を担いで意気揚々とやってきました。
「ほれ大物を仕留めたぞ!! こんなに大きな狐みたことないわい。しかも二匹じゃ」。
「本当に大きい  こりゃ たまげた。」

二匹の大狐の亡骸を囲んで村人達が騒いでいると
そこへやってきた村の大年寄りは恐れおののいて叫びました。
「こっ・・こりゃぁ・・妙太郎さんと法太郎さんじゃあ
妙法狐・・ここいらの山の主さまじゃよ。
・・・かわいそうに・・子らがワナに捕まっては不憫じゃと
身代わりに自らワナに掛かったんじゃな。
しかし、ヌシさまを殺したとあっては山が荒れ、村にも災いが起きうるぞ」

それを聞いた一同は慌てふためいて無碍には扱えまいぞと
二匹の骸を雲金山に埋めにゆきました。

ところがその年、雲金山の麓の村々は過去に例のない ひどい洪水に遭い
田畑はことごとく流され、さらには疫病・・と災いが相次いだのです。

これは妙太郎法太郎のたたりでは・・と危惧した人々は山に祠を建てて
二匹の魂を手厚く奉りました。
すると疫病は徐々に収束して村には以前のような豊穣と平安が戻りました。
不思議と、山から里へ降りてきては作物を荒らす狐の悪さもピタリとなくなりました。

以来、雲金山の麓の村落では年に一度、妙法狐の大祭を
村を揚げて賑やかに執り行うようになりました。
神輿に角力それは賑やかな大祭です。
それからというもの、他所で流行り病や不作の声を聞いても
この雲金山の麓の里に災いが降りかかることはなく
人々は末永く安泰に暮らしています。

随分と後に、 大地震で雲金山が崩れて祠が流れたのを機に
この妙法狐の祠は雲金山妙本寺の境内にうつされて
妙法大祭として今日も続く地域の伝統行事となっています。

参照:天城の史話



毎年8月28日が妙法大祭。
そう広くはない境内には多くの屋台が所狭しと軒を連ねます。
盆踊りのやぐらが組まれ、子供角力や餅まきが催され、とても賑わいます。

叔母は小学生の頃、祭りへ向う道中ふと見上げた向かいの山の中腹に
火のような不思議な明るいものがぽつりぽつりと灯っているのを見たそうです。
皆に知らせようとしたのだけれど、火はゆるやかに動きつつ次第にスゥ~っと
消えて見えなくなってしまったのだとか。
「ウソつきと呼ばれそうで当時は言えなかったけれど・・」と
50年前の妙法大祭の日に 叔母が出逢ったちょっぴり不思議な思い出話も。



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Posted by じゅりん at 01:42│Comments(2)萌ぇ伊豆スポット
この記事へのコメント
ん~~~
まだまだ知らない逸話があるんですねぇ。。。。。
郷土話は大好きです♪
こうやって、次世代につなげられてく。。。。。いいですねぇ。大事にしたいですねぇ。。。
Posted by しばわんこ^^ at 2009年08月20日 10:57
♪♪しばわんこさま♪♪

探してみると意外と多いご近所昔話~♪(^-^)
面白いもの多かったりしますよね。
地元ネタなだけにグッと親近感が沸いちゃいます~(^ω^)
Posted by じゅりんじゅりん at 2009年08月22日 08:05
 
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妙法狐
    コメント(2)